アルミ・SUS・鉄…素材別の加工のコツ

アルミ・SUS・鉄…素材別の加工のコツ
〜同じ形状でも、素材が違えば“勝ちパターン”も違う〜
■ はじめに
図面上では同じ形状でも、実際の加工現場では素材によって仕上がりや難易度が大きく変わります。
切削条件、工具、クランプ方法、冷却など、素材ごとのクセを理解して対応できるかが品質の差になります。
ここでは、金属加工でよく扱う「アルミ」「ステンレス(SUS)」「鉄(SS・S45C)」の特徴と、現場でのコツをまとめました。
■ ① アルミ(A2017・A5052・A6061など)
特徴
・軽くて切削性が良い
・熱伝導率が高く、加工熱が逃げやすい
・柔らかいため、バリやカエリが出やすい
加工のコツ
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切削スピードは高めに、送りはやや大きめ
→ 刃先が食いつきすぎず、切り粉がスムーズに排出される。 -
工具はシャープな刃先の専用エンドミルを使用
→ 通常の鉄用工具だと“溶着”が起きやすい。 -
クーラントを十分に供給し、バリ防止を意識
→ エアブローと切削油の使い分けがポイント。
現場ワンポイント
加工中に工具にアルミが“くっつく”現象(溶着)が発生しやすい。
加工音が変わったら、すぐに刃先をチェック。
■ ② ステンレス(SUS304・SUS316など)
特徴
・強度が高く、粘りがあり、熱伝導が悪い
・加工中に熱がこもりやすく、刃物摩耗が激しい
・硬化しやすく、切削抵抗が大きい
加工のコツ
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低速・低送り・高剛性で安定切削
→ 一気に削ろうとすると硬化し、さらに削りにくくなる。 -
工具は超硬 or コーティング工具を使用
→ 耐熱・耐摩耗性を確保。 -
クーラントを十分にかけ、温度上昇を防止
→ 焼けや寸法不安定の防止。
現場ワンポイント
「加工条件が甘いと、表面が“焼け”て青黒くなる」
→ 見た目にも品質にも影響するので、切削熱対策が重要。
■ ③ 鉄(SS400・S45C・SCMなど)
特徴
・種類が多く、加工性も幅広い
・炭素量が増えると硬く、切削抵抗が増す
・熱変形は少ないが、削り粉が鋭く、工具摩耗もあり
加工のコツ
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切削条件は素材の硬さに合わせて調整
→ 軟鋼(SS400)は中速、高炭素鋼(S45C)はやや低速。 -
工具寿命を意識して定期交換
→ 摩耗すると寸法・面粗度が急激に悪化。 -
仕上げ面にこだわる場合は、最後に軽切削
現場ワンポイント
鉄は加工中に“焼き付き”よりも“チッピング(刃欠け)”が多い。
特に硬化処理後は条件を慎重に。
■ 素材別比較まとめ
材料 | 加工性 | 主な課題 | コツ |
---|---|---|---|
アルミ | ◎ | バリ・溶着 | 高速切削+シャープ工具 |
ステンレス | △ | 熱・硬化・摩耗 | 低速・安定切削+冷却重視 |
鉄 | ○ | 工具摩耗 | 材質ごとに条件最適化 |
■ まとめ
素材ごとの特性を理解して加工条件を最適化することで、
「同じ図面でも精度・面粗度・コストが大きく変わる」ことがあります。
バンテックでは、素材ごとに加工条件データベースを蓄積し、再現性の高い品質を実現しています。
「この材質、どんな条件がいい?」というご相談も、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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