図面どおりにいかない理由10選〜現場でよくある“あるある”と対策〜

図面どおりにいかない理由10選
〜現場でよくある“あるある”と対策〜
■ はじめに
図面は、設計者と加工者をつなぐ共通言語。
しかし現場では、「図面どおりに加工したはずなのに合わない」「測定値はOKなのに組み立てると動かない」といったことがよく起こります。
本記事では、金属加工現場で実際によくある“図面どおりにいかない理由”を10個にまとめました。
① 材料のロット差・ばらつき
同じ材質でもロットによって硬さ・伸び・反りが異なります。
特にアルミやステンレスでは、微妙な材質差が加工後の寸法や平面度に影響します。
**👉対策:**材料証明の確認、ロット管理、加工条件の微調整
② 熱や加工応力による歪み
削る・曲げる・溶接する——どんな工程にも力や熱が加わります。
これが「残留応力」となり、仕上げ後に反りやねじれを生む原因になります。
**👉対策:**加工順序の最適化、応力除去焼鈍、クランプ方法の見直し
③ 図面上の公差が曖昧
寸法には書いてあるが、公差が指定されていない。
結果、設計側と加工側で“OK範囲”の解釈が異なり、後工程で「合わない」となる。
**👉対策:**製作前に公差範囲の確認・打合せ
④ 面取り・バリ取りの指定不足
図面には“C0.5”と書かれていないが、バリを取らないと怪我や勘合不良につながる。
加工者の判断で面取りを行うと「削りすぎ」と言われることも。
**👉対策:**図面上で「面取り・バリ取り指示」を明確に
⑤ 測定方法の違い
同じ寸法でも、マイクロメータ・ノギス・三次元測定機など測定方法が異なれば、結果も変わります。
**👉対策:**測定基準と方法を共有し、校正を統一
⑥ 設計と現場の前提ズレ
「ここは基準面」「ここは勘合部」など、設計の意図が現場に伝わっていないことがあります。
結果、精度を出すべき場所を間違えるケースも。
**👉対策:**図面打合せ時に、機能・用途を共有
⑦ 機械の精度・温度変化の影響
夏と冬で加工寸法が変わる?
実は金属は温度で膨張・収縮します。
また、機械自体の精度や摩耗も寸法誤差の一因に。
**👉対策:**環境温度の安定化、機械の定期メンテナンス
⑧ 工程内の取付け・固定方法の違い
同じ図面でも、チャッキングや治具の方法が違えば、歪みや位置ズレが発生します。
**👉対策:**治具・クランプ条件を標準化、工程内で共有
⑨ 設計変更情報の伝達ミス
図面は最新版だと思っていたが、実は更新されていた。
古い図面で加工してしまい、納品後に不具合が発覚——というのも現場あるある。
**👉対策:**図面管理のルール徹底、改訂版の共有体制構築
⑩ 「図面どおり」が“機能どおり”とは限らない
図面の寸法通りに加工しても、実際の組立や使用環境で問題が出る場合があります。
設計段階では気づかない“使い勝手”のズレです。
**👉対策:**試作段階で現物確認、設計・製造・組立の連携強化
■ まとめ
No | 原因 | 主な対策 |
---|---|---|
① | 材料ばらつき | ロット管理・条件調整 |
② | 加工歪み | 順序最適化・応力除去 |
③ | 公差曖昧 | 事前確認・明記 |
④ | 面取り不明 | 指示の明確化 |
⑤ | 測定違い | 測定条件統一 |
⑥ | 設計意図ズレ | 打合せ・用途共有 |
⑦ | 温度・機械精度 | メンテナンス・環境管理 |
⑧ | 取付け誤差 | 治具条件の統一 |
⑨ | 図面改訂ミス | 管理ルール徹底 |
⑩ | 機能不一致 | 試作検証・連携強化 |
■ おわりに
図面どおりに加工することは当然のことですが、
「図面の意図を理解して加工する」ことが本当の品質づくりだと私たちは考えています。
現場の知恵と設計の意図をつなぎ、
“図面どおりにいかない”を“図面以上の品質”に変えていきたいと思います。
品質管理の徹底
バンテックでは出荷前に自社で検査を行い、お客様に対して品質保証をしています。
各種測定機器の活用による品質保証
当社では、3次元測定器や画像測定器、ゲージ類など多種にわたる測定機器を用いて検査を行っています。製品に求める精度は年々高くなっており、検査体制の強化に努めています。
外部検査も可能
社内の検査機器で検査ができない場合は、当社のネットワークを使って外部で検査を実施し、お客様が安心して発注できる体制を整えています。
まとめ
部品加工商社は、お客様と加工業者をつなぎ、部品加工に関する業務全般を効率化する存在です。発注の一本化、最適な加工業者選定、価格や納期の調整、品質保証体制など、直接発注では得られない多くの利点があります。
部品加工の外注をご検討中の方は、ぜひバンテックへご相談ください。国内外のネットワークと技術提案力を生かし、お客様のものづくりをお手伝いいたします。