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技術コラム

加工について

金属試作加工のプロセスと重要性

試作金属加工

金属試作加工とは?

金属試作加工とは、新たな製品や部品を開発する際に、金属材料を用いて試作品(サンプル)を作ることです。製品を量産する場合は、品質、機能、デザイン、形状、コストなどを評価するために必要な工程です。

本記事では、大量生産(量産)前の試作加工の意義、試作加工を行うメリット、金属試作加工メーカーの役割や試作加工の流れをご紹介します。

大量産前の試作加工の意義

量産は、同一形状の製品を繰り返し大量に製作する加工方式です。生産性向上とコスト削減の両面でメリットがあります。
一方、「試作加工」は、製品に問題がないか、改良点がないか等、量産加工に必要な検証を行う目的で量産の前に行う過程です。金型ではなく切削加工などを用いて少量を生産します。切削加工は1個ずつ金属を削り出すため、金型を用いる量産と比べると1個あたりの加工費は必然的に高くなりますが、金型製作は高額で時間もかかるため、仕様変更が想定される試作加工の段階で金型を製作することはほとんどありません。
製品にもよりますが、試作における加工数は通常1個から10個程度です。

試作加工を行うメリット

試作加工を行うことで量産加工へ移行後の ①品質確保、②コスト低減、③納期短縮、に繋がります。

① 品質確保
試作加工を行うことで、早い段階で品質上の課題を特定できます。例えば、寸法や機能不全といった設計の不備、強度や耐久性といった材料の不向き、要求品質に満たないといった加工精度の不足などです。試作を行わずに量産を開始した場合、想定外の問題が製造後に見つかることがあり、課題の特定が後工程になればなるほど、手戻りが増えてしまいます。

② コスト低減
量産化の前段階でコストの削減を図ることができます。試作品を確認し、設計を修正したり材料を見直したりすることで、量産時のコスト削減にもつながります。仕様を確定し一旦量産が始まってしまうと、コストダウンの余地が狭まります。

③ 納期短縮
試作加工を行うことで、量産時の納期短縮を図ることができます。試作加工を行ってみると、想定よりリードタイムがかかることがあります。量産に不向きな設計があれば改め、加工や組立にかかるリードタイムを短縮でき、ひいてはコスト削減につながります。

金属試作加工の種類

金属試作の加工方法には、切削加工、積層造形、ロストワックスなどがあります。試作加工メーカーにより得意とする加工方法が異なるため、製品に合う加工方法やメーカーを選定することが必要です。

試作金属加工

切削加工

切削加工とは、刃物で金属を削り、余分な部分を除去して造形する加工方法です。
詳しくは、別記事「金属における3D加工(3次元加工)とは?」を参照下さい。

積層造形

積層造形とは、3Dデータに基づいて金属粉末などを1層ずつ積み重ねて3次元の形状を作り出す加工方法です。
詳しくは、別記事「金属における3D加工(3次元加工)とは?」を参照下さい。

ロストワックス

ロストワックスとは、蝋(ろう)を利用した鋳造方法の一種です。高額な金属の代わりに蝋を原型に使用するため、初期費用をかけずに製品を製作できます。試作や小ロット品の製作に適しています。
類似の工法にダイカストがありますが、金型を使用するため、初期費用がかかります。大ロット品の製作に適しており、主に量産加工向けです。

金属試作加工メーカーの役割

お客様の要望に応える

金属試作加工メーカーには多様な要望が持ち込まれます。試作メーカーは試作の目的や内容を把握し、試作メーカーとして何ができ、どこまで対応可能か、お客様へ的確な助言を行います。試作メーカーに求められる要素は、①お客様の要望通りの形状、精度、材質の要求を柔軟に満たす加工、②品質を保ちつつコストを低減できる提案(VA/VE提案)、③お客様の開発スケジュールに合わせた納期対応、などです。

試作品メーカーならではの知見や高い技術力を提供する

金属試作加工メーカーにはそれぞれ得意とする加工方法や設備があります。開発メーカーや部品メーカーにはない観点での知見や、その分野に特化した高い技術力を持っている試作加工メーカーも少なくありません。試作メーカーによっては設計も行い、図面も作成します。

より良い提案を行う

金属試作加工メーカーは単にお客様の要望に沿うだけでなく、必要な場合は、お客様のメリットとなる提案も行います。加工の容易性や生産性を高める加工方法、コストダウンにつながる材質変更、過剰な要求精度の緩和、などといった提案です。

試作加工の流れ

問い合わせ

試作加工メーカーに問い合わせます。この段階では具体的な発注要件が決まっている必要はありません。相談や悩みごとの内容に応じ試作加工メーカーが助言を行ったり、対応可能かを検討したりします。

打ち合わせ

図面や要望をもとに、仕様、数量、材質、納期などを試作加工メーカーに伝えます。細かい要望や納期短縮などもこの段階で相談します。

見積

依頼内容、要求品質、数量、希望納期などをもとに、試作加工メーカーが見積を立てます。

発注

見積内容を確認し、試作加工メーカーへ発注します。

試作加工

試作加工メーカーが試作加工を行います。内容に応じより専門性の高い他社と協力し製作します。

検査・出荷・納品

出来上がった試作品を検査し出荷します。仕様に合致しているか、品質要求を満たしているか、品質保証をしたうえで納品します。

金属試作加工はバンテックにご相談下さい

バンテックでは試作加工の豊富な実績が多数あります。
お客様のご要望に応じて、さまざまな金属試作加工が可能です。
他の加工業者で断られた案件も、高い技術力と長年の知見により対応します。自社で設計・デザインも行うため、図面がなくてもご相談を承ります。
金属試作加工はバンテックにご相談下さい。

当社の金属試作加工

金属試作加工
製品名:変倍ドラム
材質:A5052
加工のポイント:旋盤加工してからマシニングで二次加工した試作加工品です。
外径方向に6等分の遮光線加工(光の乱反射を抑えるためのらせん状の加工)、H穴加工を施しています。
側面への加工に対応するため、回転させてマシニング加工できる加工治具を製作しました。
また、治具の製作により、段取り替えなく複数個の加工を実現して生産性を高めています。
※機密保持上、開示可能な製品を掲載しています。

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