複雑形状加工はどこに依頼すべき?失敗しない外注先の選び方とチェックポイント

精密な部品や特殊な形状が求められる「複雑形状加工」は加工の難易度が上がるため、外注する場合は特に信頼できる会社を選択することが重要です。この記事では、複雑形状加工を外注する際に知っておきたいポイントを、加工会社の視点からわかりやすく整理してお伝えします。
複雑形状部品とは
複雑形状部品とは、単純な平面や直線ではなく、凹凸や曲面、傾斜などを多く含んだ立体的な形状の部品を指します。こうした部品は、航空宇宙や自動車、医療機器、半導体装置などの分野で数多く使われており、高精度な加工が欠かせません。複数の工程を組み合わせる必要があるため、しっかりとした加工技術やノウハウが外注先に備わっていることが重要です。
複雑形状部品の加工技術
複雑な形状の加工には、以下のような技術が必要です。
多面加工
一つの部品の複数面を一度に加工する技術です。5軸マシニングセンタなどの高性能な設備を使うことで、立体的な形状もワンチャッキングで高精度に仕上げることができます。段取り替えが少ないため、加工精度のばらつきや工数も抑えられます。
微細加工・高精度切削
細かい溝や穴、滑らかな面などを数ミクロン単位で削り出す加工技術です。放電加工機や、レーザー加工機、微細加工用のエンドミルを搭載したマシニングセンタなどの高精度なマシンを使って、仕上がりの美しさや精度が求められる部品にも対応できます。
複数工程の一貫加工(旋盤+マシニングなど)
一つの部品に対して、旋盤加工とマシニング加工を組み合わせて一貫して加工を行うことで、加工時間を短縮しつつ品質も安定させることができます。工程間の段取りや寸法ズレが抑えられるのが大きなメリットです。
複雑形状加工の外注先を選ぶ際にチェックすべきポイント
加工の難易度が高いからこそ、外注先選びは慎重に行うべきです。以下のような観点で外注先のホームページなどの情報をチェックしてみましょう。
難形状加工の「実績」があるか
加工実績の掲載があるか
実際に加工した部品の写真や事例が紹介されていると、加工レベルの目安になります。図面と完成品を見比べられるような事例があると、より具体的なイメージが持てます。
同業種や似た部品の加工経験があるか
自社と同じ業界や、形状が似ている部品の加工事例があれば、要望に対して的確に対応してもらえる可能性が高まります。
ロット数・加工精度への対応
複雑形状加工は、特殊な設備が必要な場合があり、試作レベルから量産ロットまで、どの程度のロット数まで対応できるかも大切です。また、必要な加工精度に対して、どれだけ実績があるかを確認しましょう。
対応できる「設備・技術」が整っているか
設備一覧の明記があるか
どのような加工機を保有しているかは、外注先の技術的な強みを見極める材料になります。メーカーや型式、加工範囲などがホームページなどに記載されていると安心です。
新しい設備が導入されているか
古い機械では難しい加工も、最新の機械であれば対応可能なことも多々あります。設備の導入時期も確認してみましょう。 保有設備のページに記載している場合や、ホームページのお知らせに設備導入について記載されている場合がありますので、それぞれ確認してみてください。
社内で加工を完結できる体制か
外部委託が多い業者では、品質や納期にブレが出るリスクがあります。できる限り、社内で一貫して加工を行える体制がある業者を選ぶと安心です。
技術者や担当者の「対応力」
問い合わせ対応のスピードや丁寧さ
問い合わせへの返信が早く、内容が丁寧かどうかで、信頼できる業者かどうかが見えてきます。やり取りの段階で温度感が伝わってくるものです。
加工に関する提案力
難しい形状や図面が曖昧な場合でも、「この条件なら対応可能」と提案してくれる業者は頼りになります。できない理由ばかり挙げる対応では不安が残ります。
打ち合わせやレビューの体制
加工前の段階でしっかり打ち合わせを行い、仕様や図面の確認ができる業者は、トラブル回避にもつながります。
図面なしの依頼にも対応可能か
図面がない場合に、口頭での聞き取り情報をもとにしたCAD設計や、サンプルからの図面化などにも柔軟に対応できる業者は、特に試作段階で重宝します。
品質・納期管理の「体制」があるか
品質管理の仕組み(ISOなど)
ISO9001などの認証を取得している企業は、一定以上の品質管理体制があると判断できます。
検査機器の充実(3次元測定機など)
複雑形状部品では、正確な検査が不可欠です。3次元測定機や画像測定器があるかどうかは、精度の担保に直結します。
工程・納期管理の仕組み
工程ごとの進捗を可視化する管理システムを導入している業者であれば、納期遅れや手配ミスのリスクが軽減されます。ホームページなどに管理システムの有無が掲載されている場合がありますので、 チェックしてみてください。
バンテックの実績紹介
自動車向けの多面加工部品
材質:A5052
加工のポイント:自動車メーカーの1次サプライヤーからご依頼いただいた製品で、図面のない状態からヒアリングと打ち合わせを重ねて設計を進めました。寸法公差の指定はありませんでしたが、ご要望を確認した上でJISの一般公差を基準にしました。
形状が複雑で肉厚も薄く、多面加工(X軸、Y軸、Z軸、A軸、C軸の5軸)が必要だったので、加工ジグを工夫し3D加工で製作しました。
PC製のプリンタ部品
材質:PC/GF20
加工のポイント:OA機器関連メーカーから依頼された試作品です。プリンタの印刷後の紙が出てくる部分に使用される樹脂部品で、紙送り部分の表面精度が重要でした。反りを抑えるために工程を分け、紙送りの抵抗軽減のために加工方向含めて工程設計をすることで、お客様のご要望に応えました。
複雑形状加工の外注は、”実績”、”設備”、”対応力”、”体制”が整った外注先を選びましょう
複雑形状加工を外注する際は、単に価格や納期だけでなく、加工実績、保有設備、技術者の対応力、そして品質・納期管理の体制といった複数の観点から総合的に判断することが重要です。
これらの要素がバランスよく整っている業者であれば、安心して複雑形状加工を任せることができ、長期的なパートナーとしても信頼関係を築きやすくなります。まずは気になる加工業者をインターネットなどでチェックしてみてください。
バンテックは、複雑形状加工の経験が豊富なので、お客様の様々なご要望に応えることができます。複雑形状加工の外注先を検討される場合は、まずはご相談ください。