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技術コラム

加工について

QC七つ道具の町工場での使い方

QC七つ道具の町工場での使い方

 

町工場におけるQC七つ道具(品質管理の基本手法)は、現場の問題解決や改善活動に非常に有効です。以下に、各道具の現場での使い方と活用例を紹介します。弊社ではQC手法を用いて品質管理をしっかりとおこなっています。

バンテックは輸入品にも厳し検査を行っていますし、協力工場にも高い品質管理要求を行っています。

今や品質は良くて当たり前と言う時代でお客様の要望にお応え出来るよう納期厳守も当然のことだと思っております。短納期を心掛け、日々協力工場様と連携をとれるよう万全な体制をとっております。
また、海外の提携会社もあるため、国内短納期試作/海外調達を武器にお客様の図面に合わせて最適な工法、コストをご提案いたします。


【QC七つ道具と町工場での使い方】

ツール 用途 町工場での活用例
1. パレート図 頻度や重要度の高い問題を特定 不良の種類別に件数を集計 → 多い順に並べて重点管理
2. 特性要因図(魚の骨図) 問題の原因を体系的に洗い出す 「寸法不良が多い」→ 人・機械・方法・材料などに分解して原因探し
3. グラフ(棒・折れ線・円など) データの傾向や変化を可視化 月ごとの不良率や生産数をグラフ化して改善効果を確認
4. チェックシート 現場でデータを簡単に記録 作業者がその場で不良の種類・回数を記入して記録を蓄積
5. ヒストグラム データのばらつきを確認 寸法測定値が基準内に入っているか、どの範囲に集中しているかを視覚化
6. 散布図 2つの要因の関係性を分析 加工時間と不良率の関係など → 原因と結果の相関を調べる
7. 管理図 工程が安定しているかを監視 加工精度や不良率を時系列で記録し、異常がないかを判断

【活用のポイント】

  1. 現場のデータを「見える化」することが最初の一歩
     → 直感ではなく、実際の数値で判断する土台を作る。

  2. 「改善のサイクル(PDCA)」とセットで使うと効果大
     → QC七つ道具で「Plan」と「Check」が明確に。

  3. 小さな取り組みから始めるのが成功のコツ
     → 例えば「1週間だけ不良件数をチェックシートで記録」など。


【町工場での実際の活用事例(例)】

  • チェックシート + パレート図で「不良トップ3」を把握し、重点的に対策

  • 特性要因図で「なぜ不良が出たのか?」を現場スタッフと一緒に検討

  • 管理図を現場掲示板に貼って、異常時には班長がすぐ対応


【テーマ】穴あけ加工品で「寸法不良」が多発

◆現場の状況:

  • 月間生産2,000個のアルミ部品で、穴径のNG品が月30個ほど発生。

  • 品質クレームにつながる恐れあり。


【1. チェックシート】

まずは現場作業者に、**「不良が出たときに記録する簡単なチェックシート」**を作成して配布。

記録項目:

  • 不良発生日

  • 穴番号(A/B/C)

  • 不良内容(小さすぎ、大きすぎ)

  • 加工機番号

  • 担当者

2週間の記録で、傾向が明確に。


【2. パレート図】

チェックシートの集計結果を基に、不良の種類別件数をパレート図に。

結果:

  • 穴Bの「小さすぎ」が不良全体の60%を占めていた。
    → 改善ターゲットを「穴Bの小さすぎ」に絞る。


【3. 特性要因図(魚の骨図)】

チームで「なぜ穴Bだけ不良が多いのか?」をテーマに要因を洗い出す

分類例:

  • :作業者によってバラつき?

  • 機械:ドリル摩耗?

  • 方法:穴あけ順番・加工条件?

  • 材料:ロットごとのばらつき?

→ 話し合いから「工具の摩耗管理がされていない」ことが判明。


【4. ヒストグラム】

実際にNG品と良品の穴径を測定し、ばらつきを可視化

結果:

  • NG品は基準値より平均で0.08mm小さく、偏りが見られた。

  • 摩耗した工具での加工が原因と確信。


【5. 散布図】

「工具使用時間(h)」と「穴径」の関係を散布図でプロット。

結果:

  • 使用時間が長いほど、穴が小さくなる明確な傾向が出た。


【6. 管理図】

改善後、工具を20時間ごとに交換するルールを設定し、加工後の穴径を管理図で監視

結果:

  • 管理限界内に収まり、不良ゼロを3か月継続。


【7. グラフ】

月ごとの不良件数を棒グラフで表示し、改善成果を見える化

→ 現場のモチベーションも向上し、QCサークル活動として社内展開。


◆ 成果まとめ

Before After
月30個の寸法不良 月1個以下に削減
不具合の原因不明 工具摩耗が主要因と特定
属人的な対応 データで判断する体制に

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