金切削加工におけるビビりとは/試作開発のBANTEC

金切削加工におけるビビりとは
切削加工における「ビビり」とは、工具やワーク(加工対象物)が加工中に微小振動してしまう現象を指します。英語では「chatter(チャタリング)」と呼ばれることも多いです。
このビビりが起きると、
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加工面が荒れる(仕上がりが悪くなる)
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工具寿命が縮まる
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加工精度が落ちる
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加工中の異音(高い振動音)が出る など、品質やコストに悪影響が出てしまいます。
原因としては、
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工具の剛性不足
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ワークの固定不足
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切削条件(送り速度や回転数)が不適切
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工具の突出し長さが長い
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機械本体の剛性不足 などが考えられます。
対策としては、
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工具をできるだけ短く持つ
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ワークをしっかり固定する
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切削条件(回転数や送り)を適切に調整する
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剛性の高い工具やホルダーを使う
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加工方法や工程順序を見直す などが取られます。
金切削加工におけるビビりやすい素材とは
🔵 難削材(切削しにくい素材)
→ 切削抵抗が高かったり、加工時に熱を持ちやすい素材はビビりやすいです。
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チタン合金(例:Ti-6Al-4V)
→ 軽くて強いけど、弾性が高く「逃げる」ため、振動が出やすいです。 -
耐熱合金(例:インコネル、ハステロイ)
→ 硬くて粘っこいので、切削抵抗が大きく、ビビりやすい。 -
ステンレス鋼(特にオーステナイト系、SUS304など)
→ 粘りが強く、切削中に刃物を引っ張るような力が働いて振動を起こしやすい。
🟡 柔らかい/薄い素材
→ 自体がしなるため、切削中に逃げてビビります。
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アルミニウムの薄板
→ 本体は柔らかいけど、加工条件によっては共振してビビりが出る。 -
プラスチック系素材(POM、ナイロンなど)
→ 特に長尺や薄肉加工だとビビりが目立ちやすいです。
🔴 硬くて脆い素材
→ 小さな振動でもクラックが入りやすく、加工面が荒れやすい。
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超硬材(焼結体)
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セラミックス
要するに、
✔️ 切削抵抗が高い
✔️ 加工時に素材がしなる(逃げる)
✔️ 振動が割れや欠けにつながりやすい
ビビり対策としては、工具の突出しを最小限にし、ワークをしっかり固定します。剛性の高い工具・ホルダーを選定し、機械本体の剛性にも注意します。切削条件は、回転数や送りを調整し、最適な条件を探ることが重要です。特にビビり音が出る回転数を避ける「回転数の回避」が有効です。また、切削量を適切に設定し、加工方法や工程順も見直します。
加工事例
用途:光学機器
材質:A5056
加工ポイント:
複合加工機による旋盤加工+側面C軸加工品です。
今回の事例では、100分の1mm単位での高い精度を求められていました。提携先の中国工場と品質要求をすり合わせのうえ、旋盤加工等を行っています。提携工場の技術力、BANTECの密接なコミュニケーションにより、高精度の金属加工を実現しました。
また、側面にはタップ加工やSUS平行ピンの圧入を施しています。
検査、測定は当社の三次元測定機を使用し、お客様の要求する精度を満たしたことを確認して納入しました。
その他の加工事例についてはこちら「実績紹介」をご覧ください。
まとめ
マシニング加工は、金属製品の製造に幅広く用いられている技術です。BANTECでは自社ノウハウを駆使して、多様なニーズに対応した金属加工部品を提供しています。複雑形状や難形状の加工、高精度な加工品を検討されている場合は、ぜひBANTECへご相談ください。ビビり対策はしっかり行っています。